このページでは具体的に相続税はいくらになるのかということにスポットをあてて、なるべく難解にならないようにポイントを絞って解説します。ぜひ、参考になさってください。ここでご紹介できない細かい部分は国税庁のホームページを参照いただくか、お問合せください。
また、分かりやすさに重点を置いておりますので、細かい要件などは割愛しています。実際の計算や適用にあたっては十分ご注意ください。
相続税の計算方法は他の国税の様に「課税標準×税率」みたいに単純ではなく、実はかなり複雑かつ独特になっています。すべてご紹介するとかえって混乱を招きそうなので、できるだけシンプルに解説したいと思います。
(遺産の金額-債務の金額)- 基礎控除※=遺産総額
※下記参照
遺産総額に法定相続人の相続分を乗じた金額に、税率※を乗じたものの合計金額です。
※下記参照
(具体例)
遺産総額が1億円で法定相続人が妻と子2人の場合で、妻が4,000万円、子が3,000万円ずつ取得した場合
遺産総額1億円×1/2(配偶者の法定相続分)×20%-200万円=800万円
遺産総額1億円×1/4(子Aの法定相続分)×15%-50万円=325万円
遺産総額1億円×1/4(子Bの法定相続分)×15%-50万円=325万円
妻 1,450万円×4,000万円(妻の取得分)/1億円=580万円
子A 1,450万円×3,000万円(子Aの取得分)/1億円=435万円
子B 1,450万円×3,000万円(子Bの取得分)/1億円=435万円
遺産の額から控除することができる基礎控除は、法定相続人の数によって次のように定められています。
養子も民法上の法定相続人になりますので、どんどん養子を増やせば相続税がかからなくなるのではないか、とお考えになるかもしれませんが、そこは当然制約があります。 相続税の計算上、法定相続人の数に算入できる養子の数は以下のようになっています。
被相続人に実子がいる場合 | 1人 |
被相続人に実子がいない場合 | 2人 |
相続税の総額を算出するための税率は、遺産の金額に応じ、以下のとおりになっています。
遺産の金額 | 税 率 | 控除額 |
---|---|---|
10% | - | |
15% | 50万円 | |
20% | 200万円 | |
30% | 700万円 | |
40% | 1,700万円 | |
45% | 2,700万円 | |
50% | 4,200万円 | |
55% | 7,200万円 |
相続税には、遺産の金額そのものを軽減する特例と、算出された相続税そのものを軽減する特例とがあります。
この項と次の項では、この2種類の特例の中から、もっともポピュラーな「小規模宅地等の減額」と「配偶者の税額軽減」について解説したいと思います。
まずは、遺産の金額を軽減する特例として適用が可能なケースが多い、「居住用宅地についての小規模宅地等の減額」をみてみましょう。
端的にいえば、「被相続人が居住していた土地の評価については、80%の評価減をすることができる」という特例です。ただし、土地の面積には制限があり、330㎡に達するまでの部分となります。
また、その土地の取得者ごとに要件が定められており、以下のとおりになっています。
土地の取得者 | 要 件 |
---|---|
要件なし | |
その土地の居住と所有を申告期限まで継続している場合 | |
一定の要件を満たす場合 |
それでは具体的に計算してみましょう。
(被相続人の居住用土地の評価額 5,000万円 面積400㎡ 配偶者が取得)
軽減額 5,000万円×330㎡/400㎡×80%=3,300万円
遺産の金額に算入する金額 5,000万円-3,300万円=1,700万円
この特例は、その土地の上にある建物の所有者が誰なのかや、別居親族が取得した場合について詳細な要件がありますので、詳しくはお問合せください。
またトップページにも書きましたが、これが最も重要なのですが、この特例は、
1.申告期限までにこの居住用土地の取得者が遺産分割協議などで確定していること
2.相続税の申告書を提出すること
が条件となっていますのでご注意ください。
次に相続税そのものの軽減措置である「配偶者の税額軽減」をみてみましょう。
税法的にはとても難解な算式があるのですが、簡単に言えば、
配偶者については相続した遺産の金額が1億6,000万円以下であれば納税はなく、また、1億6,000万円以上であっても法定相続分以内の遺産の取得であれば納税はない
ということです。
ただし、こちらの特例も上記の小規模宅地等の減額と同様に、
1.遺産分割協議が完了していること
2.相続税の申告書を提出すること
が条件となりますのでご注意ください。
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